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はらぺこぐんだん2~殴りBISの破砕日記~

12章




12章
【最弱で最強の能力】






「さて、皆そろったから紹介するぞ」

紅覇は会議室に揃った4人を確認すると
それぞれの紹介を始める

「コイツはジグ=ヴェルディ。私の旦那だ
 そしてコイツはクランツ、まぁこいつはどうでもいいな」

「「え、えぇ!?」」

僕とクランツは同時に驚嘆する

「俺・・・そんな扱いなのか」

ガックリとしながら項垂れるクランツ

「旦那って・・・嫌じゃないけど・・・」

僕もクランツと同じく
気恥ずかしさから少し項垂れて下を向く

僕らのリアクションを見ながら
イカロスと炎斬鬼は「ハハハ・・・」と苦笑いしている

紅覇はそんな2人を見ながら話を切り出す

「早速本題なんだが、イカロスと炎斬鬼の2人に
 これから私達が行く場所に同行して欲しいんだよ」

2人は表情を戻すと

「このイカロス、姉御とならどこへでも」

「あぁ、俺も構わない」

イカロスは何故かあごに手を添えて
かっこつけながら

炎斬鬼は鼻でフンッと笑いながらそう言った

「フフ、まだ内容を言ってないのにな
 だがまぁ、そう言ってくれると思っていたぞ」

僕はそんな3人のやり取りを見て
紅覇は皆に信頼されているんだなぁと思った

「それで、紅覇はこの2人を選んだのには
 何か理由があるんだよね?」

「あぁ、2人とも、ステータスを見ていいか?」

紅覇の言葉に2人は頷く

「じゃあちょっと2人のステータスを見てみてくれ」

それを聞いてクランツは、僕の変わりに
2人のステータスをACに表示して見せてくれた


___________

名前:イカロス
職業:天使
レベル:201
ギルド:炎心(フレアマインド)
能力:【弱者の強み】
ランキング:31位
___________

名前:炎斬鬼
職業:剣士
レベル:199
ギルド:炎心(フレアマインド)
能力:【強者ハンター】
ランキング:34位
___________





「ふむ、見た事の無い能力を2人とも持ってるな」

クランツはACを見ながら呟く

「あぁ、2人の能力は【レアスキル】だからな」

「「レアスキル?」」

僕とクランツは同時に同じ台詞を言ってしまい
お互いに顔を見るとなんとなく恥ずかしくなって俯く

「あぁ、レアスキルは特定のダンジョンのボスを
 一番最初に討伐した者に贈られるスキルなんだけどな」

紅覇が何故か僕に密着しながらそう言う

「そうそう、姉御がボスを倒しまくってて
 手に入ったレアスキルを俺達に譲ってくれたんだよ」

嬉しそうにイカロスは
何故かまたかっこつけながら言う

「入手時はアイテムとして貰えるんだが
 売ればかなりの額になるはずなのに姉御は欲が無いな」

炎斬鬼はまた鼻でフッと笑いながら言う

(なんというか・・・変わった人達だな)

「私の【炎操】もレアスキルだしな
 これ以上あっても邪魔でしかないからな」

確かに紅覇のスキルである【炎操】は
とても強力な為頷ける

「それで、その2人のスキルと
 これから行く【激昂のミズナ】との関係は?」

レアスキルの話に反れて行きそうになった話を
クランツが冷静に本題に戻す

「ん?あぁ、こいつらのスキルはな・・・【最弱で最強】なんだよ」

紅覇の言葉に、僕とクランツはきょとんとし
他の3人はニヤニヤとする

「それってどういう事?
 言ってることが矛盾しているようだけど」

僕は思うがままの疑問を紅覇に投げかける

「簡単に言うとだな」

紅覇が2人の能力について語り始める

思ったより話が長くなった為
簡単に纏めるとこうだ

__________


【弱者の強み】は
相手のレベルが100以上離れている場合
その差額×1%分、自身の防御力と回避率が上昇するというもの

また、その効果が有効となった場合
命中率補正・回避率補正・レベル差補正を無効(無視)にする

例えば自身のレベルが100だとしよう
その場合にレベル200の敵を相手にした時
自分の防御と回避が+100%上昇する
さらに補正無視効果により安定して攻撃を命中させられる

簡単に言葉で表すと「格上に対して鉄壁の防御力を誇る能力」である


一方【強者ハンター】は
弱者の強みと対となるような効果を持つ

相手のレベルが100以上離れている場合
その差額×1%分、自身の攻撃力と命中率が上昇するというもの
こちらも3種の補正無視効果を備え持つ

こちらは「格上に対して最高の攻撃力を誇る能力」
と言っても過言ではないと断言できる


この格上に対して
「防御特化」「攻撃特化」の2人のコンビは
ギルド内でもTOPに位置する実力者だ

ただしこの能力には1つ欠点がある

それは「ステータスの差」

圧倒的な回避率・命中率を誇るこのスキルでも
補正無視を持ってしてもステータス補正までは無効化できない

このゲームには
「ステータスを一時的に極特化する能力」
「圧倒的なステータスを持つモンスター」
等が存在する為、基本的にこのような敵がいる場合
それは最大の天敵となりうる


だが基本的には一般モンスターには
そのような能力を持つ、または使用する個体は
ごく少数しか存在していない

その為
今回向かう「激昂のミズナ」攻略には
これ以上無いほどのうってつけな2人なのである

__________


と、ここまで
長い説明を終えて紅覇はふぅ・・・とため息を漏らす

「私はあまり説明が上手くないのでな
 内容が分かりにくかったら容赦してくれ」

そう言って
NPCがタイミング良く持ってきてくれた
紅茶をゆっくりと口に含む

「なるほど・・・これは心強い
 連携さえ完璧にこなせば格上には敵無しって事だな」

クランツは眉間にしわを寄せながら
腕組をしてうんうん、と頷く

「まぁ、今回はジグが居るから
 あまり意味がないかもしれないんだがな」

「ハハハ・・・あまり期待しないで下さい」

僕は愛想笑いと苦笑いの中間のような笑いを零すと
それを聞いたイカロスと炎斬鬼の2人は不思議そうな顔をする

「ジグってそんなに強いの?」

「ランキングでは姉御が1位じゃなかったか?」

それぞれそう言いながら僕の顔を覗いてくる

「あぁ、少し前まではな
 こいつ、ジグはLv888でランキング1位だ」

さらっと言った紅覇の言葉に
2人はポカーンとして、しばらく固まった後

「「はぁあぁぁ!?!?」」

と、立ち上がりながらオーバーリアクションをする


「ははは・・・色々理由があるんだけどね」

冗談だろ?とかバグ?とか
口々に詰め寄ってくる2人に

僕は苦笑いで後ずさりする


それを見た紅覇は何故か嬉しそうにしながら

「こいつらなら信用できる
 ジグ、今までの事を話してみないか?」

そう言いながら僕の肩に手を置く

「うーん・・・そうですね
 どちらにせよ話さなきゃいけないようですからね」

僕は小さな覚悟を決めると
2人に今までのいきさつを話し始めた





~12章完~






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